イギリスのミステリ作家Holly Jackson(ホリー・ジャクソン)の本を続けて2冊読みました。
この2冊は、ほぼ上巻下巻と言ってもいいほど話が繋がっているので、
先に「自由研究には向かない殺人」の方を読むことをお勧めします。
『自由研究には向かない殺人』|あらすじ
イギリスのバッキンガムシャー・リトル・キルトンという町で少女の失踪事件が起きた。
その少女は今も行方不明のままだが、当時恋人だった少年が自殺したため、少年の犯行(殺人)とみなされ事件は完結となる。
しかしその少年と親しかったピップは、そのことがどうしても信じられない。
5年後、女子高生となったピップは、学校の課題である「自由研究」を口実に、独自に事件を調べ直そうと思いつく。
感想
ピップの調査方法はおもに関係者へのインタビュー。
あとはフェイスブックなどのSNSの投稿をチェック。
時に証言の真実性を確かめるため、危険な人物に会いに行くところなどは読んでいてハラハラ・・・。
その行動が刑事さながら、いえ、それ以上!
何より小さな町で起きた事件ということで、疑わしい人物は知り合いであることも多く、調査が進むにつれ、まさかの人物にたどり着く。
人の心に潜む表裏一体の善と悪。
普段は心のバランスが取れていても、些細なきっかけで悪に傾いたとき、人は思いもよらない行動をとってしまう・・・そう感じながら読み終えました。
続編『優等生は探偵に向かない』|あらすじ
原題:Good Girl, Bad Blood
作者:Holly Jackson/ホリー・ジャクソン
訳者:服部京子
出版社:東京創元社
発売日:2022年7月20日
ページ数:560ページ
「自由研究には向かない殺人」で登場したピップが、再び調査に乗り出すストーリー。
きっかけは、友人のコナーから「兄が失踪したので探して欲しい」と頼み込まれたから。
お兄さんがなぜ消えたのか、事件に巻き込まれたのか、もしかして殺されてしまったのか・・。
なかなか手がかりがつかめないまま時間だけが過ぎていく。
今回はSNSとポッドキャスト配信を使い、真相に向かって体当たりで調査を開始する。
感想
ピップは<グッドガールの殺人ガイド>というタイトルで、最新の犯罪実録をポッドキャストで配信するようになっていた。
お兄さんの失踪は、家出なのか事件なのか、手がかりがつかめないまま後半へと進んでいくが、ある日ようやく1つの仮説が立てられるまでに行き着く。
それからの展開はものすごく早かったですね。
前作同様またしても思いがけない人物が関わっていて、よりハードな結末を迎えました。
次回は三部作目「As Good As Dead」が刊行予定されているそうです。
巻末にある「阿津川辰海さんの解説」の中で紹介されていた本5選
「自由研究には向かない殺人」を読んで思い出した本だそうです。
①「この町の誰かが」ヒラリー・ウォー
ありふれた町で少女が殺された。その事件をインタビュー形式で描くスリリングあふれる物語。
②「理由」宮部みゆき
超高層マンションに生きる家族の悲劇の物語。
③「ユージニア」恩田陸
旧家で起きた大量毒殺事件、真相はいったいなんなのか。
④「Q&A」恩田陸
郊外の大型商業施設で起きた重大死傷事故。質問と答え(Q&A)だけで物語が進行するシリアスドラマ。
⑤「誰かがこの町で」佐野広美
高級住宅地の恐ろしい秘密を描いた物語。
それではまた。
原題:A GOOD GIRL’S GUIDE TO MURDER
直訳:グッドガールの殺人ガイド
作者:Holly Jackson/ホリー・ジャクソン
訳者:服部京子
出版社:東京創元社
発売日:2021年8月27日
ページ数:581ページ
2020年にチルドレンズ・ブック・オブ・ザ・イヤーを受賞