ロビン・スティーヴンスによるミステリー小説、「グッゲンハイムの謎」を読みました。
この小説は、シヴォーン・ダウドの「ロンドン・アイの謎」の続編であり、舞台はロンドン・アイから3ヶ月後のニューヨーク、グッゲンハイム美術館の中。

1枚の絵が盗まれた事件を、テッドたち3人の推論力と観察力を駆使し、真相を解き明かしていきます。
原案はシヴォーン・ダウド、完成させたのはロビン・スティーヴンス
2007年、シヴォーン・ダウドは「ロンドン・アイの謎」を発表しました。
ですがその2ヶ月後、乳ガンのため逝去。
47歳の若さでした。
その後2015年、シヴォーン・ダウド基金よりロビン・スティーヴンスへ続編の執筆が依頼されます。
そしてついに2017年、イギリスで「グッゲンハイムの謎」が刊行。
グッゲンハイム美術館の簡単な紹介
⚫︎コレクション
ソロモン・R・グッゲンハイム財団の現代美術コレクションが収蔵。
⚫︎設計者
アメリカ人建築家フランク・ロイド・ライト
⚫︎完成
1959年ニューヨーク市五番街に完成。
⚫︎分館のある場所
- イタリアのヴェネチア
- スペインのビルバオ
- アラブ首長国連邦のアブダビ(2025年完成予定)
ニューヨークでは自由の女神と並ぶ有名観光スポットであり、歴史的重要建造物。
建物の中は円形で、らせん状のスロープがある。
主な登場人物
- テッド・・12歳(弟)
- カット・・14歳(姉)
- サリム・・13歳(いとこ)
ストーリーの概要
この小説は、前作「ロンドン・アイの謎」から3ヶ月後のニューヨークが舞台。
テッドは姉と母と一緒に、叔母とサリムの住むニューヨークへと遊びにいく。

叔母さんはグッゲンハイム美術館の主任学芸員なので、休館日に特別に叔母さんによる「プライベートツアー」が開催される。
中は改装中ということもあり、多くの作業員が修理をしている。
すると急に白い煙と匂いがしてきて、テッドは「何か燃えている!」と叫ぶ。

急いでみんな館外に出るが、それは見せかけの火事で、
その隙にカンディンスキーの「黒い正方形のなかに」という絵が盗まれていた。

そしてその後、どういうわけか叔母さんが犯人と疑われ、逮捕される。
叔母さんが盗むわけがない!
絵を取り返し、おばさんの無実を証明するため、テッドたちは事件の謎解きを開始する。
テッドの脳
テッドは自分で自分の脳を「僕の不思議な脳」と言っています。
その特徴は
- 誰も気が付かないことに気がつくことができる。
- 物事のつながりが見える。
- 見るもの全てにパターンがあると思っている。
テッドたちは、情報を収集し、絵を盗んだかもしれない犯人8人をリストアップします。
そして一人ひとりに「その時間に何をしていたか」を聞いて回る。
テッドの心を知るために、ロビンさんは東田直樹著「自閉症の僕が飛び跳ねる理由」KA・ヨシダ/デイヴィッド・ミッチェル訳を参考にされたそうです。(作者あとがきより)
まとめ
「ロンドン・アイの謎」の時はテッドとカットが奮闘しましたが、今回はサリムも加わり3人での謎解きです。
謎解きの特徴は、「消去法」。
そして違うと思ったら、1人ずつ外していく。
あとシャーロック・ホームズの言葉も思い出しながら推理していきますよ。
「すべてを消去して残ったものは、どんなにありえそうもないことであっても、まちがいなく真実だ」
「グッゲンハイムの謎」p244 架空の探偵・シャーロック・ホームズの言葉より
やっぱり子どもたちは、誰かの言うことをちゃんと聞いて、そして行動もよく観察していますね。
8人のリストアップ者から、どのような消去法で犯人に迫っていくのか。
3人の団結力も見ものです。
それではまた。

タイトル:グッゲンハイムの謎
原題:The Guggenheim Mystery
著者:ロビン・スティーヴンス/Robin Stevens
原案:シヴォーン・ダウド/Siobhan Dowd
訳者:越前敏弥
出版社:東京創元社
発売日:2022年12月9日
ページ数:ページ