感想|『ダリウスは今日も生きづらい』

ダリウスは今日も生きづらい

『ダリウスは今日も生きづらい』の表紙だけを見ると、異国情緒にあふれていて、少年ものんびりお茶を楽しんでいるかのよう。

なのにタイトルには「今日も生きづらい」とある。

原題は『Darius the Great Is Not Okay』

意味は「ダリウスは大丈夫じゃない」

何が大丈夫じゃないのか、気になったので読んでみました。

中東にルーツを持つダリウスくん

まず、ダリウスくんはこんな人

  • イラン人の母親と白人のアメリカ人父親を持つペルシア系アメリカ人
  • 生まれも育ちもアメリカのポートランド
  • 父(白人)のルックスは遺伝しなかった
  • ほとんど母(イラン)似である
  • ゆるくカールした黒髪
  • ブラウンアイズ
  • 標準的なペルシア人
  • うつ病
  • 英語を話す
  • ペルシア語はほとんど話せない

ダリウスくんの疎外感

ダリウスくんは生まれも育ちもアメリカ。

見かけはイラン人のお母さん似だけど、イランの母国語であるペルシア語は話せない。

なぜならダリウスくんのお母さんが「アメリカでは使わないだろう」と判断し、教えなかったから。

要するに教えない方がアメリカを自分の「居場所」と思えるようになるだろうと考えたから。

だけど親のそういう願いとは裏腹に、学校では中東にルーツを持つというだけで、変なあだ名をつけられ、からかわれる毎日。

理不尽すぎて、たしかに生きづらさを感じる・・・

ちなみにダリウスという名前は、ペルシア帝国の偉大な王「ダリウス1世」から名付けらていて、ギリシャ語読みだと「ダレイオス1世」。

お母さんはペルシア語は教えなかったけれど、名前には祖国への愛を込めたんだね。

ダリウスくん、イランへ行く

ある日母方の祖父が重い病気とわかり、ダリウスくん一家はイランまで会いに行くことになる。

ダリウスくんにとっては初めてのイラン。

ダリウスは今日も生きづらい

しかしイランに到着後、ダリウスくんは再び「生きづらさ」を感じます。

それはなぜかというと

  • 言葉の壁
  • パソコン画面でしか知らなかった祖父母とのリアルなコミュニケーション
  • 地元の人々のうつ病に対する理解のなさ

にぶつかったから。

おまけにイランで出会った同じくらいの子たちにもからかわれ・・・

とにかくダリウスくんにとってイランでも生きづらい。

そんな中、妹はすんなりとイランの生活に馴染んでしまう。

これがね、またダリウスの孤独をますます深めていくのです。

ダリウスくんの成長

しかし、踏んだり蹴ったりだけではない。

ついにダリウスくんが大きく成長するような出来事が起こります。

それは1人の少年との出会い。

少年はダリウスのうつ病にも寛容で、ダリウスの内面を理解しようと努力します。

少年のおかげでちょっとだけ「自分の居場所」を感じ始めるダリウスくん。


“生きづらさ”を抱えることは誰にでもある。

でもたった1人でも、理解や共感をしてくれる人がいると世界が変わって見えてくる。

「友だち」が人生の中で価値ある宝物であることを、ダリウスくんは知っていく。

イランの遺跡

ダリウス物語のもう一つの魅力は、たくさんの遺跡が紹介されているところ!

物語を通して遺跡を知ると、どのように使われている(使われていた)かが自然と理解できていいなって思うんです。

以下、小説内で出てきた遺跡です。

マスジェデ・ジャーメイラン最古の金曜モスク(金曜日に集まって礼拝をする)
バードギール風塔(昔のペルシア式エアコンのようなもの)
沈黙の塔ゾロアスター教徒が死者を葬る場所
鳥葬と呼ばれている。今は法律で禁止されている)
ペルセポリスの遺跡ダレイオス1世が建設を開始したアケメネス朝ペルシアの都
ダウラダバード美しい風景と大邸宅と巨大なバードギールが有名
アーテシュキャデヤズドという都市にあるゾロアスター教の拝火神殿
アーテシュキャデの火は1500年燃え続けている

鳥葬とは、死者は沈黙の塔などの屋根のないところに放置され、鳥がついばむことにより自然を汚さずに葬送されること。

小説の中で出てきたイラン料理

イラン料理には馴染みがないので、興味がわきます。

今度イラン料理のレストランを見つけたら、行ってみたい。

以下は小説内に出てきた料理名です。

料理名特徴
ファラフェルひよこ豆のコロッケ
チェロカバブマトンのケバブとライス
トフメローストしたスイカの種(生粋ペルシア人の大好物)
サンギャグ・ナン石の上で焼いた平べったいパン
アーシュレシュテペルシアのスープ麺のようなもの
ゴルメサブズイ山のようなハーブと野菜を煮込んだシチュー
トールシ 酢漬けの野菜
セカンジャビン伝統的飲み物
カバブコフテペルシア料理の中でも見かけ的に不安をそそる食べ物ナンバーワン

ベーコン・・今回里帰りした都市ヤズドでは手に入らない

ハラール・・イスラム法上で食べることを許されている食材や料理

以下は小説内で出てきたお菓子です。

お菓子名特徴
ヌーネ・パンジェレ花の形をしたお菓子でカリッと揚げて粉砂糖がまぶしてある
ラヴァーシャクフルーツペーストを焼いたロールアプスのイラン版
ザクロやキウィが多い
パシュマック綿菓子
ファールーデでんぷんの麺にローズシロップのシャーベットをかけたもの
サワーチェリーのシロップとライムのジュースをかけるとさらにGood
(イランの伝統的デザート)
バグラヴァ フィロ生地にナッツ類を挟んで焼いたものにシロップをかけて食べる
バーミエ ペルシア風ドーナツ
コッターブ 砕いたアーモンドと砂糖とカルダモンの入った生地を揚げて砂糖をまぶしたもの

ヤズドは何千年も前からイランでも有名なデザートの都。美味しいデザートはすべてヤズドが発祥らしいですよ!

著者アディーブ・コラーム|プロフィール

アディーブ・コラーム (Adib Khorram)

  • 1984年4月12日生まれ
  • 作家・グラッフィックデザイナー
  • イラン系アメリカ人作家
  • お茶愛好家

まとめ

『ダリウスは今日も生きづらい』は自分のルーツ、友情、家族の絆といったテーマを扱った小説です。

2つの異文化の中で揺れるアイデンティティ、初めての真の友情、ギクシャクしていた家族との絆の発見…。

この小説を読むことで、境遇は違っても、自分自身の人生について考えるきっかけになるかもしれません。

それと、イランの生活や料理、遺跡や宗教を知ることができてとても興味深かったです。

本当に素晴らしく書かれた本で、私は強くおすすめします。

thank you
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ルーシー
読書好きの主婦です。絵画鑑賞や植物園、遺跡や占いが好きです。このブログは本の感想を中心に、行って良かったところ、素敵だなと思ったことなどを書いている雑記ブログになります。