読書感想『ミッテランの帽子』それぞれの人生に魔法をかける

小説ミッテランの帽子の表紙

こんにちは。ルーシーです。

アントワーヌローランの『ミッテランの帽子』を読みました。

この物語は、当時のフランス大統領フランソワ・ミッテランが議会総選挙で大敗し、

再び返り咲くまでの1986年から1988年の2年間が背景になっています。

ミッテランの帽子の原題

そのミッテラン氏の帽子がリレーのバトンのように次々と人の手に渡っていき、その人たちの人生に変化を与えていきます。

帽子は帽子でしかないけれど、偶然手に入れたことに意味をもたせると、思考が変わり行動も変わり再び人生が返り咲いていく

原題:Le Chapeau de Mitterrand

邦題:ミッテランの帽子

著者:Antoine Laurain /アントワーヌ・ローラン 

翻訳:吉田洋之

出版社:新潮クレスト・ブックス

発売日:2018年12月26日

単行本:195ページ

人生の分岐点で起きていることはこういうことかも。と思えるお話です。

主な登場人物

  • ミッテラン:元フランス大統領
  • ダニエル :最初の帽子の拾い主
  • ファニー :2番目の拾い主
  • ピエール :3番目の拾い主
  • ベルナール:4番目の拾い主

前半あらすじ|帽子がもたらす魔法のはじまり

1986年11月のある日、

パリのブラッスリーで、ダニエルミッテランの隣の席で食事をしていました。

ブルターニュ産のマガキ、ヒラガキ、イチョウガニ、ハマグリ

クルマエビ、ラングスティーヌ、つぶ貝、小エビ、アサリ

アマンド貝、タニシ、それにブルゴーニュ産の白ワイン・・・

生牡蠣料理

この偶然に心躍るダニエル。

そして会食が終わったミッテランは、帽子を忘れて店を出ていきます。

ミッテランの忘れ物に気がついたダニエルは、なんと自分のものかのようにその帽子を被って帰ってしまいます。

ミッテランの帽子を持ち帰る男

ミッテランの帽子なので大事に大事に使っていたら、人生が好転するようないいことが起きていきました。

だけどある日、ダニエルは電車の中にうっかり帽子を忘れてきてしまい、予期せず手放すことになってしまいます。

次に帽子を拾ったのは作家志望のファニー

外は雨、列車に忘れてあった帽子を見つけ、傘がわりに持っていく

ファニーも帽子を手にした日から心の中に変化が起き、ある問題に決着をつける

急に雨が降ってきた絵

3番目の持ち主は、調香師ピエール

スランプに陥り新作の香水が8年も作れずにいる

精神科に通うが一向に良くならない。

香水作りができずスランプに陥る調香師

4番目はブルジョア階級の紳士、

退屈しているヴェルナールへと渡っていく。

紳士・4番目の帽子の持ち主

感想とまとめ

この物語は、帽子が誰かの日常や悩みにそっと寄り添う、魔法のアイテムのように描かれています。

ミッテランや4人にとってはそれが帽子であったけれど、私やあなたや誰かにとっても、そういう魔法のアイテムがあるかもしれない。

そう思うだけで楽しくなるストーリーでした。

それではまた。