こんにちは。ルーシーです。
フランスの作家アントワーヌ・ローランの「赤いモレスキンの女」を読みました。
この小説は
- 出だしはサスペンス並みの恐怖
- 中盤は探偵物語
- 後半はロマンティックな展開
そしてラストはちょっとしたパラレルワールドで読後感最高のストーリーでした。
翻訳の吉田洋之さんの「あとがき」もとてもすばらしいんです。
こちらの知りたい情報をぜんぶ透視しているんですか?
と思うくらい、詳しい詳細が書かれています。
さらにこの本の面白いところを発見できました。
著 者:Antoine Laurain/アントワーヌ・ローラン
翻 訳:吉田洋之
出版社:新潮クレスト・ブックス
発売日:2020年12月21日
総ページ188ページ
主な登場人
ロール:バッグの持ち主
ローラン:書店主/バッグを拾った男性
クロエ:ローランの娘15歳
序盤あらすじ|バッグを奪われるロール、バッグを拾うローラン
【ロール】
ある日の深夜、タクシーから降りて家に向かう途中、男にハンドバッグをひったくられる。
鍵もなく自宅に入れないロールは、近くのホテルにいきさつを話して泊まらせてもらう。
しかし襲われた時の衝撃で昏睡状態に陥る。
【ローラン】
道を歩いているとき、路上のゴミ箱におしゃれな紫色のハンドバッグが捨てられているのを見つけ、なぜか気になり拾ってしまう。
そして落とし物として警察に持っていくが、諸事情で家に持ち帰ることになる。
そして、後ろめたい気持ちもあったが、抑えきれない衝動にかられ中身を見てしまう。
中には
香水ビン
クリーニング屋さんの伝票
赤いモレスキンの手帳
パトリック・モディアノの「夜半の事故」サイン入り本
などが入っていた。
ローランは手帳に書いてあるものを読み、その文章に魅了され、彼女に直接渡そうと決心する。
ローラン、バッグの持ち主を探し始める
手帳からの情報で住居が分かったので行ってみたが、彼女は留守のまま帰ってきていない様子。
そしてひょんなことから猫の世話をすることになるのですが、
この辺りは現実だったら怖すぎるんですけど・・という感想。
ロールが読書家だと知るローラン
ローランは本好きな書店主なので、ロールの本棚が気になります。
眺めてみると
- イギリス、スウェーデン、アイスランドの推理小説
- マキャベリの「君主論」
- 村上春樹
- 谷口ジロー
- エシュノーズ
- シムノン
など、とにかくバラエティー。
小説の中で海外で有名な日本人作家を知ることができるのは楽しいです。
本の並び順などを観察しながら、ロールがどんな人なのかを探る調査は夢心地で続いていきます。
中盤から後半の二人の関係
ストーリーの前半はロールが襲われたときの恐怖で心が落ち着かないまま読んでいました。
ですが後半は
- 立場の逆転があったり
- ローランの娘が出てきたり
- 2人の距離がどんどん縮んでいく様子
がスピーディーに描かれていて、とても楽しく読めました。
最後に
パリの街並みや、書店員の会話、本や作家に関することがこれでもかと出てきます。
ロールの貴重なお仕事も注目ポイント。
2人の「読書が生活に染み渡っている」という共通点もとても良かったです。
パリの芸術とサスペンスを同時に味わいたい方にはおすすめの1冊です。