2024年1月出版の新訳版『グリーン家殺人事件』を読みました。
この小説は、昔ながらのミステリーが好きな人にはたまらない作品でしょう。
舞台は1920年代の雪降るニューヨーク、富裕なグリーン家で起こる連続殺人事件を描いた推理探偵小説です。
大活躍するのは探偵ファイロ・ヴァンス
複雑に絡み合う人間関係と巧妙に仕組まれたトリックを解明する過程を描いており、グリーン家の秘密や、事件の背後に隠された謎がどんどん明らかになっていくところが、読みどころです。
ミステリー小説が初めての人でも楽しめる作品なので、ぜひ読んでみてください。
著者|S.S.ヴァン・ダイン
S.S.ヴァン・ダイン(S. S. Van Dine)
本名ウィラード・ハンティントン・ライトは、アメリカのミステリー作家であり、彼の代表作の一つに「グリーン家殺人事件(The Greene Murder Case)」があります。
この小説は1928年作で、その発表から100年近く経った今でも高い評価を受け続けているクラシックなミステリー作品です。
「グリーン家殺人事件」の出版情報
- 原題: 『The Greene Murder Case』
- 発表年: 1928年
- 著者: S.S.ヴァン・ダイン
- 国籍:アメリカ合衆国
- 主人公: ファイロ・ヴァンス(アマチュア探偵)
- ジャンル: 推理小説、探偵小説
【新訳版】
- 邦 題:『グリーン家殺人事件』
- 訳 者:日暮雅通
- 出版社 : 東京創元社
- 発売日 : 2024年1月11日
- 文庫本:441ページ
あらすじ
ニューヨークの上流階級に属するグリーン家は、財産も名声も手にした裕福な一族。
しかしある日、その家で恐ろしい事件が起こります。
グリーン家の一員が、謎の死を遂げたのです。
その後も次々と家族が狙われ、屋敷は恐怖に包まれます。家族は皆、疑心暗鬼になり、誰を信じていいのか分からなくなってしまいます。
この難解な事件を解決するために登場したのが名探偵ファイロ・ヴァンス。
彼は、冷静な分析力と鋭い観察力を武器に、複雑に絡み合った人間関係と巧妙なトリックの謎を解き明かしていきます。
そして家族の秘密、隠された動機、そして予想外の真実が、少しずつ明らかになっていくのです。
事件の背後には何があるのか?
犯人は一体誰なのか?
ファイロ・ヴァンスは、最後にすべての謎を解き明かし、グリーン家を襲う悲劇の真相を暴きます。
深まる謎と名探偵ファイロ・ヴァンスの推理
物語の冒頭から、グリーン家で次々と発生する不可解な殺人事件。
物語りを読み進めていくと亡くなった父トバイアス氏の「開かずの書斎」に何か秘密があるのではないかとファイロ・ヴァンスは考え始めます。
唯一その部屋の中だけ入室禁止で、しかも12年も家族の誰一人として入っていないのですから、探偵としては何としても調べてみたくなりますよね。
とにかく屋敷が広いので「密室」が自然と出来上がってしまう・・・。
いかにして事件を解決していくのか。
読後感想
「グリーン家殺人事件」を読んで、改めてクラシックミステリーの魅力に引き込まれました。
現代のSNSを駆使した場面がないため、誰かの証言も本当かもしれないし、意図的かもしれない。
そのあたりの見極め方は名探偵ファイロ・ヴァンスの洞察力と推理力がなかったら、おそらく迷宮入り事件となったことでしょう。
それにしても、何だか「呪文」にかかってしまった悲劇にも感じましたね。
誰もその呪文から逃れようとしない。
この小説は、単なる娯楽小説にとどまらず、人々の生き方に対する洞察も得られる物語だと感じました。
また、当時の文化や社会背景に興味がある人にもおすすめできる一冊です。