こんにちは。ルーシーです。
日記本は好きですか?
この本は、スコットランドの古本屋「ザ・ブックショップ」の店主が記録した、
1年間の書店経営サバイバル日記となっています。
原題は「The Diary of a Bookseller」
書店経営に興味がある人や、書籍愛好家のかたにはお勧めの一冊です。
古書店オーナーになったきっかけ
著者のショーン・バイセルは、大学進学で地元ウィグタウンを離れようとしているとき、
この書店を見かけました。
その時は「すぐに潰れそうな店だな」という印象を持っていたそう。
ところがその12年後の30歳のとき、
クリスマス帰省中、本を買いにこの本屋へ立ち寄ったところ、
店主と雑談することに。
面白いと思える仕事が見つからなくて・・・
実は引退したいんだよ、店を買い取ってくれないかね
そんなお金ないですよ
銀行は何のためにあると思う?
というような会話を重ね、
1年後の2001年、なんと本当に店を買い取り店主になってしまいました。
なにがきっかけになるか分からないものですね。
日記の始まり
店主が日記をつけるようになったのは、
風変わりなお客たちとの面白いやり取りが毎日たくさんあったから。
それで店のスタッフからも勧められ、将来何かを書くときの役に立てばと、備忘録のつもりで書き始めたのだそう。
日記には何が書いてあるのか
内容は、日々のルーティンを通じて、
- ビジネスを運営することの難しさ
- 風変わりな顧客たちとのやり取り
- 貴重な本を発見し販売することの喜び
など、店主の本音を垣間見ることができます。
さらに細かく分類すると、
などシビアな数字も見ることができます。
また、スコットランドの町や冬の厳しさ、遺品書籍の買取、賑やかなブックフェスティバルなど、四季折々の様子も記録されています。
ジョージ・オーウェルの「本屋の思い出」がバイブル
月の冒頭はジョージ・オーウェルの「本屋の思い出」の抜粋から始まります。
なぜかというと、
ジョージ・オーウェルは1934年から36年まで『葉蘭を窓辺に飾れ』を執筆中、ハムステッドの書店で働いていたから。
書店員から作家つながりというわけです。
それでオーウェルの時代と現代での共通点や相違点を披露しながら日記書こうと思ったそう。
どんな人がどんな本を買っていったとか、店主の読みかけの本など、たくさんの本も登場します。
そのほかにも、古書や絶版書、地元の歴史や文化に関する書籍なども出てきますよ。
感想とまとめ
本書では、著者が、本の販売業界や、彼の店を訪れる人々について、時にはユーモアを交えつつ、時には皮肉を交えて、観察したことが記されています。
また、Amazonなどのオンライン販売業者が独立系書店に与える影響など、
書籍業界の状況についての洞察もあります。
それでも今では10万冊の在庫を擁するスコットランド最大の古書店だそうです。
ブックフェスティバルとか行ってみたいな〜。
それではまた。
著者:Shaun Bythell/ショーン・バイセル
翻訳:矢倉尚子
出版社:白水社
発売日:2021年7月28日
ページ数:335ページ