こんにちは。ルーシーです。
興奮すると身体から炎が出る双子の物語に出会いました。
着ている服は焼け焦げるけど、髪や自分の体は焼けないという超常現象のような発火。
どういうことなんでしょう。読んでみます。
直訳は、ここには見るべきものなんて何にもないよ。(そうジロジロみないで)
アメリカの小説・392ページ
著 者:ケヴィン・ウィルソン
翻 訳:芹澤恵
発売日:2022年6月10日
出版社:集英社
主な登場人物
- リリアン・将来への夢がない28歳
- マディソン・超資産家の友人
- ベッシー・双子10歳の女の子
- ローランド・双子10歳の男の子
あらすじ
1995年、リリアン28歳の春の終わりに、友人のマディソンから手紙が届く。
内容は、リリアン向けの仕事があるから、私の住むテネシー州フランクリンの屋敷まで来て欲しい、というもの。
親切にもバス代として50ドル紙幣も入っている。
このころリリアンは、スーパーマーケットのレジ係を2軒掛け持ちしていて、特に将来への夢もなし。
マディソンはといえば、根っからのお嬢様でメリット・デメリットを冷静に判断するクレイジーなほど頭が切れる人。
そんなマディソンが言うんだから行くしかないか。
仕事というのは、10歳になる双子のお世話係。
夏の間、家庭教師兼身の回りのお世話をして欲しいとのこと。
ただし、この双子は
怒ったり興奮したり動揺すると体温が上昇して燃え上がると。
服は焦げるけど体や髪の毛は燃えない、でも発火時間は短いのと告げられる。
そんなことが本当にあるのでしょうか。
でももうここへ来てしまったし、子供たちの世話をする決心は変わらない。
プール付きの家で3人の共同生活がはじまる
リリアンも初めての経験なので大変ですが、子どもたちはもっと大変です。
10年間すくすく育ってきたわけではなく、親の都合で振り回され、母親のことで深い心の傷も負っています。
しかも自分の体が発火するという特異体質も持っている。
自分の意思とは関係なく普通じゃないことだらけなんです。
大人を信じていない2人。
リリアンはそれを分かった上で2人にたっぷりと愛情を注ぎ、本気でこのたちを守ろうと考え始めます。
子どもたちも自分の話を真剣に聞いてくれるリリアンに少しづつ心を開いていき・・・
リリアンも我が子のように思えてくるのですが・・・。
しかし期間限定のこの仕事。離れる時が必ずくる。
終わりに
マディソンからの手紙がきっかけで、夏の間だけ燃える双子のお世話をすることになったリリアン。
友人とはいえマディソンとの関係も壁を1枚挟んでいるかのようで、言いたいことがあっても言わずにいるような関係。
登場する人物もみな、何かしら親との確執があり、そのまま大人になった部分が見え隠れしています。
双子の子育てを通して見えてきたものは何だったのか。
そしてそれはそれぞれにとってどんなものだったのか。
読みどころたっぷりの物語でした。
それではまた。